ローコスト住宅をつくる必須の条件
ここでは、この事のまとめとして、ローコスト住宅には欠かせない7ヵ条を挙げましょう。
(1)ローコストは必要な時間をかけてつくる
プランの決定が予算を左右します。プラン1概算の流れにおいて、十分に検討しましょう。
見積りの金額調整で仕上げの仕様を落としても、1割程度しか落ちません。
プラン決定の段階で充分に検討して、工法や仕様などをほぼ決めておくことが重要です。
この段階をおろそかにすると、みんなが迷惑するのです。
設計図が完成して見積りを取り、大幅に予算がオーバーしてしまったとき、一番困るのはもちろん建主ですが、見積もった施工者も設計者も同じように困ってしまいます。
ある段階まで進んでしまうと、コスト調整も限度があり、後戻りができないのです。
計画を大幅に変更するか、計画をあきらめるか、あるいは費用を余計に捻出してもらうしか選択できません。
かといって、とにかく安いだけの、つくる中身の定まっていない「ローコスト住宅=ロークオリティ住宅」では意味がありません。
2千万円で20年使える住宅と、3千万円で50年使える住宅ではどちらが安いといえるのでしょう。
単純計算しても、前者は1年当たり100万円、後者は60万円の金額で住めることになります(実際には維持管理費用などもかかりますから、単純計算ではいきませんが)。
費用がどうしても2千万円までしか用意できないのでしたら、きちんとした仕様のもので、最低限住める基本的な機能を満たすところまでで止めておくこともできます。
小さくつくっておいて、後で増築などで対応してもよいのです。
維持管理を含め、住まいの寿命も視野に入れたうえで、十分に時間をかけて検討を重ねながら家づくりに臨みたいものです。
(2)面積を増やさない
坪当たりの単価はあてにならないとはいっても、建築費用の目安にはなります。面積が増えれば、当然ながら工事金額は増えます。
費用を安く抑えるためにはコンパクトな間取りが必須です。
床面積以外でも、雨の多い私たちの国に馴染むかどうかは別にすれば、屋根の面積を減らすことも効果的でしょう。
また、建物の形状も、なるべく真四角な平面形にすれば、同じ面積でも外周の長さが小さくなり、壁の仕上げ面積が少なくなるので安くすみます。
室内でも、小さな部屋ばかりの間仕切りの多い建物では、壁をつくる材料と手問が多くなりますし、当然壁の仕上げの量も増えます。
よく検討して不要な間仕切りはなるべく省略すると効果的です。
(3)後でつくれるものはつくらない
新築時に一度につくらなくとも、住みながら必要なものをつくっていけばよいという発想も必要です。
極端なことをいえば、骨組みと外壁、屋根があれば、家は十分なのです。
間仕切壁や造付け家具など、後からつくれるものが、実は一番お金がかかる要素なめです。
造付けの家具工事は結構費用がかさむものなので、この際だからと欲張らないほうがよいのです。
移動できる置き家具のよさもあるので、長いスパンで生活を考えて決めましょう。
(3)高いときはスッパリあきらめる
設備などは一式で何百万円という高額な金額になります。
予算がないなら粘らずにスッパリあきらめることが肝心です。
ローコスト住宅では、丈夫で長もちする骨組みと豪華な設備機器は両立しません。
価値観の問題ではありますが、木材費にあと10万円余計にかけたら、予想以上によい木が使えるのです。
新築の住宅でも、途中で建主がショウルームで高価なキッチンを選んで、現場に入ったのを見ると、何のために余計なお金をかけないように苦労したのかが分からなくなり、無力感を感じて複雑な心境になることがあります。
設計者から見ると、コストバランスの悪い家に見えるのです。
極端ないい方をすると、セットのようなあばら家に豪華なキッチンという絵柄でしょうか。
筆者の設計する住宅は、骨組みをつくる木材とそれをしっかり組むための大工手間にコストを多く配分しますので、設備機器類は必要な機能を備えた質素なものを選ぶようにしています。
そうでもしないと、いくらでも工事費が増えてしまいます。
要は予算配分です。
希望したもののグレードを下げてもタカが知れています。いっそ採用しないことが必要な場合もあるのです。
(4)「あると便利そう」は不要なもの
せっかく家をつくるのだからと、あると便利そうなものはこの際何でも盛り込んでしまおうとする人がいます。
照明器具の明るさを調節できるスイッチなどは典型でしょう。
居間などで、場面に合わせて明るさを変えるといったように、確かに空間の雰囲気はこれだけでガラツと変わります。
しかし、建主の希望でこれを設置して、後で訪ねてみると答えは大体決まっています。
新築当初は面白がって何度か調光するのですが、しばらくすると最高の明るさのところで決まってしまい、動かすことはまずありません。
ないと困ると思う設備だけを付けることにしましょう。
あると便利だなと思うものは、予算が余ったときには検討しましょう。
機器類は必ず壊れます。なければ壊れないのですから、必要のないものは最初から付けなければ費用もかからず、維持管理も軽減できるのです。
(5)仕様にこだわりすぎない
最近の建主は住まいづくりをするときには、本などで驚くほど勉強しています。
ある分野では、不勉強な設計者よりも多くの知識を仕入れています。
昨今の自然素材ブームもあってか、断熱材は炭化コルクにしてくれと最初から指定してくる建主もいます。
確かに性能もそこそこよく、樹皮ですから建築のなかにあっても廃棄時も問題はないかもしれません。
問題はその値段で、値段が異常に高いと思えるのです。
東京近郊の公的融資基準の壁を例にとると、厚みは異なりますが、同等の性能のものでは、グラスウール系断熱材の値段を100とすれば、
発泡ポリスチレン系(スタイロフォームなど)では150から200、ペットボトル再生繊維(パーフェクトバリアー)でほぼ型剛後、フェノールフォーム系(ネオマフォーム)で250くらい、
炭化コルクではなんと750から1,000の間となり、グラスウール系の実に10倍ほど費用がかかるのです。
よいものはよいのですが、予定されたコストに収めるためには、同等の性能を確保しながら使用材料を柔軟に検討することも必要です。
?F自分でつくることも考える
建築費の多くは人件費です。塗装など、自分で工事すると驚くほど安くすみます。
住まいは建ててから後の維持管理も重要です。自分で手をかけると、住まいに愛着をもって接することができます。
自分の住まいを大切に感じる意味でも、自分でする作業は大いに役に立ちます。
費用効果の大きさ以上に意義のあることなので、事情が許せば、ぜひ自分で住まいづくりの施工に関わってください。
建物以外の外廻りなどの外構工事も、後で自分でできることです。
庭などは時間をかけて、植木などが生長してよくなる過程を見るのも楽しいものですよ。
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