設計者に事前に聞いておくべきこと
ローコストで良質な住宅を獲得するため、よい設計者を選ぶ際のポイントとして、設計者に事前に聞いておくべき6ヵ条を紹介しておきましょう。
?@こちらの要望を聞いてくれるか
当たりをつけた設計者に「こちらの要望を聞いてもらえるか」と尋ねれば、全員が肯定するに決まっています。
要望を開いてくれるか人どうかは、何度か設計者と会えば自然と分かってくると思いますので、面と向かって問う必要はないでしょう。
初めて建主に会って、設計者は自分のことを理解してほしいとアピールするのは当然です。
しかし、自分のことだけを話して、建主のいうことを聞かない設計者は注意したほうがよいかもしれません。いわゆる「自分の作品」をつくることしか関心がない恐れがあります。
設計者が提案した案について建主が要望を出しても、あれこれ理由を付けて変更したがらない設計者も要注意です。建主の要望をそのまま形にするのではなく、むしろ建主が要求した以上のことを提案できるのがプロの設計者だと思います。
建主の要望を否定するときも、真に建主のためを思ってきちんと理由を説明してくれるのなら何の問題もありません。その説明が「作品」をつくるための方便だと感じたら、建主としては納得できるまで説明を求めましょう。
?A概算が出せるか
設計で基本プランができたら、工事費の概算見積り書をもらえるか開いてみましょう。コストコントロールには初期段階の概算見積りが重要です。
概算ですから精度は10%前後の振れ幅はあるにしても、ここでオーバーするようなら、時には振り出しに戻って基本プンを考え直すこともあり得ます。
設計者によって設計する建物の特徴あるいは傾向があるので、設計者が手がけた過去の仕事のデータをもとに、独自の算定方式を準備していることもあります。床面積やそのほかの数量を基準にして、概算工事費が算出できるような表計算などのツールを用意していることが多いようです。
デザイン事務所では、概算の見積りも知合いの施工者などに依頼してしまうこともあるようです。
概算の工事費が分からないよりはましですが、うがった見方をすれば、これでは施工者のいいなりになる可能性があるので、あまり好ましい方法とはいえないかもしれません。
?B見積り査定を行うか
見積り査定は、ローコストかどうかに関わらず、設計事務所の業務としては必要なことです。
見積りも多くの労力を必要としますが、見積り査定も同様に多くの労力を必要とします。効率よく査定するには、それまでの仕事のデータから大掴みに判断します。仕上げの数量などは、過去のデータからおおむね判断できます。
全体のバランスから異常に突出しているところを重点的に査定をするのです。最終的には、すべての項目について数量と金額を査定します。適正な内容の見積りで、予算をオーバーした場合は、設計変更を検討しなければなりません。
設計者の多くは、丈夫で快適で安全な美しい住まいを適正な価格で実現するために努力しています。
しかし、なかにはコストのコントロールのできない、いわゆるデザインするだけの設計者もいます。
積算を専業に行っている事務所に、自分で費用を負担して委託し、積算と査定を行うならまだよいほうかもしれません。デザインのみの設計者のなかには、施工者が提出した見積り書をそのまま建主に提出してしまう人もいるようなので、注意が必要です。
?C設計した住宅を見せてもらえるか
設計者が過去に手がけた住まいを見せてもらいましょう。特別に器用な設計者は別にして、設計者ごとに、つくる建物には特徴や癖があるものなので、趣味が合うかどうかが分かります。
また、このことにはもう一つ、大切な意味があります。
住まいづくりは、建物工事の完成時が終わりではありません。むしろ建物が完成した日こそ住まいの誕生日であり、ここから建主が住まい手として住み続けながら、住まいを成長させていくのだと考えます。
設計者と施工者も含めた協働作業はまだまだ続くのです。
法的には確か5年間の保管義務があったように記憶していますが、多くの設計者がそうしているように、独立してから手がけた仕事のすべての資料を保管しています。これらの資料はいわば住まいのカルテですから、維持管理などで相談があったときにはすぐに対応できるようにしています。
設計者によっては、住まいが完成してから雑誌用に写真を撮り終えれば、おしまいという人もいます。
もっとひどい例は、住まいが完成してから何らかのトラブルでそのお宅には出入り禁止
という設計者も結構いるのです。よい建築の評価とは関係ないかもしれませんが、建物が完成してからも建主とよい関係でお付合いできていることは重要なことだと思います。
?D施工業者が毎回違うということはないか
若い設計者の場合は経験が少ないのでやむを得ないのですが、同じ地域の仕事では、設計者は信頼できる同じ施工者に頼む場合が多くあります。
お互いに信頼できる関係があって初めてできることなのですが、設計者によっては施工者が毎回違うことがあります。
毎回違うこと自体には何も問題はないのですが、設計者が現場とうまくいっていない場合や、あまりに無理難題を施工者に強いて嫌われている場合などがあるので要注意です。
建物をつくることは、ある面では契約関係ですから、決められたことをきちんとやればよいのですが、現場とうまくやれない設計者では、出来る住まいの質に悪影響を及ぼすかもしれず、住まいを建ててからも問題があるのです。
先にも述べたとおり、住まいは工事が完成して住んでからのほうがむしろ重要です。
建物の維持管理には施工者協力があったほうがよいのですが、設計者と施工者の関係が悪化している場合には協力が得られないことがあります。
維持管理や何か問題が生じるなどして施工者の助けを借りる必要があったときにも、施工者は「問題があっても設計のせい」だとして知らん顔してしまうこともあるのです。
?E過去の住宅例について説明してくれるか
設計者を決める前に、少なくとも一度は設計者を訪ねてみるとよいでしょう。そして、過去に設計した事例の資料を見せてもらい、説明をしてもらいましょう。
設計者が住まいにとって何が重要な事柄だと考えていて、その仕事にどんな考え方で取り組み、どんなプロセスで設計監理業務などの仕事を完成させたかなど、大いに参考になると思います。
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