金物はとにかく付ける
柱と梁を組み合わせてつくる軸組工法の仕宅では、木と木を組み合わせる部分のほとんどといってよいくらいに金物を打ち付けるようになりました。
使う場所によって金物の形や留付け方が違いますが、基本は材どうしが力を受けたときに離れないようにするために使います。
一般にこれらは「補強金物」といって、本来は精度よく刻んだ木材をきちんと組み合わせたうえで、さらに外れないようにするという補強の意味で用いられるものでした。
金物を使うことが少なかった頃は、組むときに囲く組み合わさることが特に重要でした。
そのため、昔の大工さんは、継手や仕口も使われる場所に応じて(今から思えば手間のかかる)工夫をし、墨付け(加工のために木材に墨で線をひくこと)の細い墨の内側で刻むのか外側で刻むのかなどを気にしながら仕事をしたものです。
現在のようにたくさんの金物を使うようになってしまうと、以前のように気を遣い、手間をかけることも少なくなってしまいました。
後で金物で留めればよいと考えて、刻みも甘く(組むときに緩い状態)してしまいがちです。
継手や仕口も金物で補強するのが前提ならば、蟻継ぎ、鎌継ぎが中心の簡単なのもので用が足りてしまうので、
追掛け大栓継ぎや金輪継ぎなどで工夫し、手間のかかる細工をするなどということもあまりしなくなってしまいました。
ましてや、今やプレカットですから、自分で刻むこともまれなのです。
建前(骨組みを組み立てる作業のこと)が終わって金物を取り付ける段階で継手や仕口がゆるゆるでも、金物を付ければそのときは結構しっかりするものです。
しかし、金物と、金物と比べて軟らかい木との相性は決してよくはありません。
下手をすると木が割れてしまって、せっかく金物を取り付けても効かなくなってしまうこともあります。
さらに金物が錆びたりしたらその効果も期待できません。
しかし、そんなことはおかまいなし。
手抜き業者はとにかく金物を取り付けられるだけ取り付けてしまいます。
そうすれば、とりあえずは丈夫そうに見えるからです。
主要な骨組みは、太い材料を使って組み方をきちんと考えれば、最小限の金物で成立します。
一方、簡略化した組み方のときには補強金物が必要です。
とはいえ、木組みだけで成立するだけの骨組みの建て方を、まだ私たちは確立していません。
大きな力を負担する耐力壁の柱の根元や頭の部分には、大きな力がかかると、現在のところ、木だけでは対処できません。
この場合の金物は、補強ではなくて主要金物といえるでしょう。
決まりだから金物を付けるのではなく、木造の原理まできちんと理解したうえで施工してほしいものです。
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