緩い継手・仕口は施工がラクチン
「かたい仕事をする」というのは、大工さんへの褒め言葉です。
優秀な大工さんであれば、文字どおり、骨組みをきつく組むように継手・仕口などをつくります。
土台に差すホゾも、普通は長さが6cmくらい、短いところでは3cmくらいでつくりますが、七台の高さと同じ12cmくらいの長さにすることもあります。
また、材の抜け止めとして、ホゾのところには穴が開けてあって、カシやケヤキなどの堅い木でつくった「込み栓」という1.8cmで15cmくらいの長さの「木の釘」のようなものを打ち込んでホゾを留めます。
込み栓を打ち込むごとに材どうしが引き付け合うように組まれていきます。
込み栓のほかにも、板のような「車知栓」や斜めにそいだ形の楔などを用いますが、いずれも木をきちんと組むために重要な働きをしています。
こうして木で組んだところは、きちんとつくれば粘りのある組み方ができ、建物の揺れを少なく抑えられます。
しかし、差し込んで組む部分はすべて細工しなければならず、それらの加工に手間がかかって値段も高くなるため、請負値段が安いときには手を抜いてしまう大工さんがいます。
また、実際に骨組みを手伝う鳶工のなかにも、こうした仕事をあまりやりたがらない人たちもいます。
組む順番もうまく考えなければならないうえ、きつめに継ぎ目をつくってあるので、差し込むときに「かけや」という大きな木の槌で何回も叩かないと入らず、手間がかかるからです。
1日いくらの手間賃で仕事をしているのだから、プレカットの建物のように、あまり叩かなくてもスポッと組めるような建物のほうが時間がかからなくて楽だと考えています。
家の骨観みを建ててから、建物全体の傾きを補正するために、柱の傾きを何カ所かで測って、柱を垂直に建てるためにワイヤーロープなどで引っ張るなどして矯正することを「歪み直し」または「建入れ」といいます。
気を付けて建てていても、家が少し曲がってしまうことがあります。
こうした歪みは3mm以内に抑えることが望ましいのですが、ひどいものでは建物1階分の高さで2cmくらいずれてしまうものもあります。
最近のプレカットの骨組みは、コンピュータ制御で正確に加工ができているということで、建てるときにずれてしまって骨組みが傾いでも、たいして力をかけなくとも直せます。
金物で固める前は、ホゾや継目が短めにつくられていることもあって、骨組みの段階ではふらふらと揺れやすい不安定な状態になっています。
不安定さを抑えるために「仮筋かい」という木をつっかえ棒のようにして釘で留めておくのですが、歪み直しのときは、この仮筋かいの一方の釘を外せば自由に傾きが変えられるので、真っ直ぐになったところでまた釘を留め直すのです。
その後、大工さんが壁のなかに本番の「筋かい」を固定して、建物が変形しにくくなるというわけです。
反対に、プレカットではない、手刻みによる木組みの家の骨組みでは、組んでいくうちに真っ直ぐになるので歪み直しをしなくてもよいことが多いのですが、傾いでいた場合には骨組みが簡単には動かないので、直すには大変な労力がかかります。
そうした点でも、プレカットのような緩めの継手・仕口を好み、がっちりした木組みの家を嫌がる鳶工は多いようです。
余談ですが、歪み直しの際、柱が室内や外で見える骨組み(「真咤」といいます)の建物では木に傷を付けないように、布の紐を併用して引っ張るのですが、柱が見えない「大壁」の建物なら骨組みの木材はどうせ見えないのだからと、金物で引っ張って木材に傷がついても知らんぶりという手荒な施工業者もいるので注意が必要です。
お気に入りのブックマーク・RSSに登録 »
関連記事
サイトマップカテゴリー:手抜き工事の手口
トラックバック(0)
http://www.loan-me.jp/cgi/mt/mt-tb.cgi/1828

