手垢の付かない和室の天井
昨今は和風の住宅が減ったとはいえ、1軒に1部屋は和室がしつらえられています。
床は畳に、壁は東楽壁、天井は杉の柾目模様といった具合になります。
天井は直接さわることもなく、目を近づけて見る場所でもありません。天井板をムク材で張ることは今ではまれになり、通称「張り天」や「ラミ天」がほとんどです。
張り天は、秋田杉や吉野杉などの銘木を薄くスライスした突き板をベニヤの表面に貼ったものです。「杉柾練付けベニヤ」などと呼ばれています。
ムク板や張り天の場合、施工時に手の脂が付かないように手袋をはめて作業します。手の脂が付くと、後になってそこの部分に手の跡が浮き出てきますから、施工業者にとっては気を遣う材料ともいえます。
ラミ天は、正式には「ラミネート天井材」といい、合板や石膏ボードの表面に木目を印刷した紙を貼ったものです。
ムク板や張り天に比べて、手垢が付きにくいので取扱いが楽です。
ただし、何かの都合でセロテープなどを貼った場合、それをはがすときに印刷紙もはがれてしまうため、注意しないとあとの祭りで、補修のしょうもない状態になってしまいます。
ラミ天の表面には凹凸が加工されていて、一見、突き板と見紛うほどによくできています。よほど近づいて見ない限り分かりません。寝ころんで天井を見る程度なら、木目はまったく同じなので、分かる人にしか分からないでしょう。
悪い施工業者は、こうした材料の違いは建主にはよく分からないだろうと考えて、だいたい見積りのときには張り天の価格で入れておきます。
天井材の現場への搬入は工事の後半になりますから、それまでにいろいろ価格調整しなければならないことがあった場合には、ラミ天にすり替えてしまうことがよくあります。
8畳問で、張り天は3万円程度、ラミ天は1万円程度と、ラミ天のほうがはるかに安いからです。
余談ですが、建売住宅の場合には、ラミ天が標準仕様になっているようです。いわゆる和室のしつらえは、今やほとんどまがい物でつくられています。
そうまでして単に記号と化した和室をつくる必要があるのでしょうか。形だけの格式にとらわれなければ、自然の素材で畳のよさを生かした、心地よい新しい解釈の和室がいくらでも得られるのです。
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