マンションの騒音対策
マンションで最も多いクレームは、騒音についてです。
同じ住棟内で生活を営む都合上、騒音問題は避けては通れません。
上階の住人は、下階の住人に対する騒音発生源者としての気配りが欠かせません。
一方、最下階に住んでいれば、ほかの住戸に迷惑をかけることがないかというと、実は最下階であっても、子供が走り回る振動がコンクリート躯体を介して上階や隣接住戸へ伝わりますので、やはり生活騒音に対する配慮は必要です。
騒音問題は、単に戸境壁や床のコンクリート(床スラブ)を厚くすれば解決できるというものではありません。
戸境壁や床スラブを厚くすれば、そのぶん建物の重量が増すので、それを支える柱や梁が太くなり工事費が高くなります。
戸境壁や床スラブの厚さは、工事費の観点からはできるだけ薄く、讐対策の観点からはできるだけ厚くしたい。
この相反する要求条件を同時に満たすのは技術的にとても難しいのです。
最近のマンションの居間は、かなり広くなってきています。
居間の床面積が大きくなればなるほど、床面積に対する床スラブの厚さの割合は相対的に小さくなります。
平たくいうと、床面積が大きいほど床スラブは、ベラベラ状態になるということです。
床スラブがベラベラだと、子供がドスンドスンと飛び跳ねる重い音(重量床衝撃音)がコンクリート躯体を伝わり、周辺住戸に騒音として発現(これを「固体音」といいます)してしまいます。
この固体音を防ぐためには、床スラブがしならないように剛性を高める(=しなりにくくする)必要があります。たとえば床スラブの厚さが20センチであれば、居間の床面積20平方メートル以下ごとに床スラブがしならないように小梁で補強するとともに、床スラブの周辺端部を大梁、小梁でしっかりと拘束してやる必要があります。
このような「重量床衝撃音」対策を施していても、イスを引きずったり、ビー玉を転がしたりしたときの軽い音(軽量床衝撃音)を防ぐためには、さらに別の対策が必要になります。
フローリングと床スラブの間に緩衝機能を持たせた二重床構造が最近の軽量床衝撃音対策の主流です。
二重床構造のフローリングが普及しはじめたのは平成に入ってからです。
それ以前は床スラブの上に直接フローリングを張るなど、騒音対策が十分ではありませんでした。
住戸内で生じた騒音が、戸境壁や床スラブを介して固体音として隣接住戸に伝わるメカニズムは結構複雑です。
ですから、本質的な理解がないと、騒音対策は、プロでも難しいということになります。
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